ありふれた女子大生になりたかった
どこにでもいるありふれた女子大生になりたかった。
私は特に秀でたこともないからありふれてると言えばありふれてる。
だけど、年に4回くらいはディズニーに行って、ストーリーを撮るために友達にカメラを向けて、カメラを向けられて、バイトに明け暮れて、サークルに明け暮れて、色恋沙汰をいくつか経験して、彼氏と喧嘩して、友達に彼氏の愚痴をいって、卒業旅行の計画を立てて、安い居酒屋で飲んで、無意味にオールして、単位がやばい〜なんていいながらちゃんと4年で卒業して、絵に描いたようなどこにでもいるありふれた女子大生になりたかった。
でもなれなかったんだよ。
いつだってそうだ。中学生の時は部活に明け暮れて楽しかったけど、最後の最後に仲良しのメンバーと疎遠になったことをきっかけに「高校生になったらこの子達のことなんて忘れるくらいめちゃくちゃ楽しんでやる!」なんて意地をはっていたけど無理だった。
あんなに熱中していた部活も、高校生になると燃え尽きてしまって途中で辞めてしまった。1年の頃は特に頭も良くないのに学年で1番の進学クラスに入ってしまって勉強にはついていけないし、クラスの雰囲気には息が詰まった。
2年はクラスも変わって自由にやれた。でも一緒にいる友達が少ししんどかった。割となにもかもどうでもいいし適当に過ごせればいいやと1年間結局その友達といた。
そして3年生。どうでもいいモードはそのまま、適当に高校生活を過ごしていた。
高校生ブランドというものがあることはあの頃の私にも分かっていたし、大人は制服を着たがるし、高校生に戻りたいって思う大人もいっぱいいることは知っていた。でも、そんなのどうでもいいからとっとと卒業して、上京して、新しい生活を新しい自分を手に入れたいと思ってた。
誰も私のことを知らない場所で、ありふれた女子大生になりたかった。それだけ。
別に青学のミスコンに出るような煌びやかな生活がしたかった訳じゃない。
ありふれた女子大生になりたかったんだよ。
友達が全くいないわけではないし、
別に病んでいるわけでもない。
大学がつまらないかと聞かれればよくわからない。
虚無。
周りを惹きつける魅力的なあの子は地元にいても、千葉県の田舎にいても、海外にいてもどこにいたって輝いたまんまのあの子だ。
私も地元にいても、東京にいても変わらない。変われない。
こうやっていつまでも変われないまま、いつまでもInstagramのリア垢をちゃんとできないまま、いつまでも友達には言えないコンプレックスを抱えて歳を重ねていくのか。
このコンプレックスが解消される日は果たして来るのか。